豆腐屋の仕事に密着!墨田区「手づくり豆腐 豊田屋」

豆腐屋の仕事に密着!墨田区「手づくり豆腐 豊田屋」

ずっとやりたかった事がある。その道のプロ達の1日の仕事に密着する事だ。

第一弾として、豆腐屋を紹介する。

なぜ豆腐屋なのか?

普段はお店の紹介をメインにしているのだから、職人(シェフ)の1日に密着するのが筋なのかもしれない。仕入れから仕込み、開店から閉店までを紹介するのも確かに面白い。

ただ、大方職人さんの1日の流れを知っている。労働時間の長さに仕入れから仕込みの手間暇、接客や後片付けはとても大変だ。

『 鮨屋の1日に密着 』
『 焼鳥屋の1日密着 』
『 イタリアンの1日に密着 』

仲良しのお店にお願いすれば可能なのだが、もう一つ前の生産者の仕事を知りたいと純粋に思った。例えば、普段何気無く使っている醤油や味醂や味噌などが、実際どのような工程を踏んで出来ているのか。ちゃんと答えられる人は少ないのではないでしょうか。

そこで、気になったのが豆腐。家の近所にある「手づくり豆腐 豊田屋」さんの豆腐を、ほぼ毎日買っている。スーパーで売っている豆腐とは違い、作り手の顔が分かる昔ながらの小さな個人商店。店主にお願いして、早朝から仕事を見学させて頂いた。

豆腐がどのような出来ているのか、ここで少しでも豆腐に興味持って近所の豆腐屋に足を運ぶきっかけになってくれたら嬉しい。また、どのような苦労があるのか。

早速紹介していこう。

豆腐屋の1日

前日に豆腐を買いに行き、仕事を見させて頂く了承を得た。

朝5時ごろから仕込みしているから、それくらいの時間に来てくれれば大丈夫だよ。

 

豆腐屋の仕事に密着!墨田区「手づくり豆腐 豊田屋」

目覚ましを4時半にセットして無事に起床。前日こちらで買った豆腐入りの蕎麦を食し家から歩いて数分の同店に到着。

同店の店主は近所に住んでいるそうで、豆腐屋は実家。お母さんが1人で住んでいて、ご高齢という事もあり色々大変らしい。家のこと、お店のこと、後継は居ない(娘さんが嫁いでしまったので)と。まっ、こんな大変な仕事やりたがる人はそうそう居ないからね、と話していた。

どのくらい大変なのか。とにかく朝早いし休日も仕込みがあるからほぼ休みが無い。

 

豆腐屋の仕事に密着!墨田区「手づくり豆腐 豊田屋」

大豆の産地は時期によって異なる。この時期(1月頭)佐賀県フクユタカという品種の大豆で豆腐を作る。大豆は必ず前日から水に浸して綺麗にしておくそうだ。

豆腐屋の仕事に密着!墨田区「手づくり豆腐 豊田屋」

その大豆を搾り機(スクリュープレス)に入れ水を流しながらつぶしていく。

あの固形の大豆が、あっという間に豆腐の原型になる。大豆がこーなるのか!と、なんか全く知らなかった自分が恥ずかしくなる。

豆腐屋の仕事に密着!墨田区「手づくり豆腐 豊田屋」

10キロの大豆を絞り切ったら煮詰め作業。機械もしっかりと加熱消毒してから行い、真冬の気温が嘘のように室内熱気が籠る。湿度が上がり過ぎて雨のような現象も起きてくる程除菌は徹底してやる。

豆腐屋の仕事に密着!墨田区「手づくり豆腐 豊田屋」

蒸気が出ててから10分から15分程煮詰める。この煮詰める作業がとても重要で、大豆の甘みを引き出してくれる。

玉葱と同じで、火入れをすればするほど甘味が増す。ただ、やり過ぎると焦げてダメになってしまうので大豆の品種によって時間の調整を行なっている。

豆腐屋の仕事に密着!墨田区「手づくり豆腐 豊田屋」

(おっ、何か出てきたぞ・・・)

豆腐作りで必ず出てくる、”  おから ”。おからはとても身体に良く、昔の人は豆腐屋に買いに来るとおからも持って帰っていた。

昔はおからを無料にしていたそうだが、今はお金を取っている(100g30円だけ)。豆腐も買わずにおからだけ持っていく輩がいるからとの事。スーパーで豆腐が安く買えるようになった時代だからなのか、昔と今では感覚が変わってきているのでしょう。

豆腐屋の仕事に密着!墨田区「手づくり豆腐 豊田屋」

おからが栄養満点な事は上に書いた。豆腐作りの過程で必ず出てきてしまう『おから』を引き取る業者もあるそうだ。そのおからは、牧場の家畜の餌となって利用されている。

無駄が出ないという、とても素晴らしいこと。

(写真のように外に置いておくと、回収業社が勝手に持っていってくれるそうです)

豆腐屋の仕事に密着!墨田区「手づくり豆腐 豊田屋」

『おから』が出てくる横では、牛乳のような白い液体が抽出されます。

そう、これが豆乳。

スーパーで売っている豆乳しか知らないので、出来立て熱々の豆乳を・・・

豆腐屋の仕事に密着!墨田区「手づくり豆腐 豊田屋」

頂きまーす。

が、ぶっちゃけ味はほぼ無い。スーパーで売っている豆乳に比べると甘味が弱くインパクトにかけるのだが、これが本物。少し塩を入れると、大豆の甘味が引き立ってくる気がします。

ちなみに、毎日豆乳目当てに買いに来る常連さんも居る。マイボトルが置いてあって、出勤前の園長先生や近所のおじさんが買いに来ていた。

これを飲んで健康的な生活を送るのも楽しそうだ。

豆腐屋の仕事に密着!墨田区「手づくり豆腐 豊田屋」

ネットに付いた絞りカス(これも『おから』)を取り除き、煮詰める作業が終了。

豆腐屋の仕事に密着!墨田区「手づくり豆腐 豊田屋」

豆乳に付随して、湯葉もいただける事になった。ちなみに湯葉が出来る温度は75度以上。湯葉作りは意図的に温度を上げて(専用の機械がある)作るそうで、自然に出来た湯葉だけでは提供数に限りがあるからとの事。

自然に出来た湯葉は、豆乳同様、味はサラッとしてまろやか。外食でも食べる事がないけど、作っている工程を見ながら食べると、味に深みが増す。

豆腐屋の仕事に密着!墨田区「手づくり豆腐 豊田屋」

絹豆腐、木綿豆腐、寄豆腐に分けて型を取っていく。型取りというのが、お店によって扱う物も大きさも違う。

” 豆腐一丁ください ”

と、皆さん何気に発しているのだが、一丁の大きさの基準は無い。長方形や正方形、300gから400g、大体300g前後のお店が多いそうだが、明確な基準は無く店舗によって様々なのだ。

豆腐屋の仕事に密着!墨田区「手づくり豆腐 豊田屋」

皆さんはご存知かもしれませんが、絹豆腐と木綿豆腐の違いすら筆者は知らなかった。食べて舌触りの違いくらいは知っていたけど、作り上げる工程の違いは無知。

絹豆腐は、豆乳にニガリを入れたもの。
木綿豆腐は、豆乳にニガリを入れて固まったものを木綿布をひいて圧力をかけ固めたもの。

手間暇かかるのが木綿豆腐なのです。その分、栄養素も豊富になる。

豆腐作りの工程を見て知って以来、絹豆腐から木綿豆腐一択になりました。

(絹豆腐の方が滑らかで艶やかで好きなんですけどね)

豆腐屋の仕事に密着!墨田区「手づくり豆腐 豊田屋」

完成した絹豆腐を当分にカットしていく。

水の中で切るのは崩れないようにするため。そして、しっかり冷やさないと破れてしまうらしい。冬場は水が冷たいから良いけど、夏場は色々と大変だと話していました。

豆腐屋の仕事に密着!墨田区「手づくり豆腐 豊田屋」

次は、焼豆腐の仕込み。

焼豆腐と厚揚げは、基本的に前日に余った豆腐で作っている。どちらも水分をしっかり抜くため重しをのせて少しずつ豆腐の水分を抜いていく。

豆腐屋の仕事に密着!墨田区「手づくり豆腐 豊田屋」

この作業のやり方もお店によって様々なんですが、ここで使っている重しなんだか分かりますか?

形を見ればなんと無く想像できるのでは無いでしょうか。

正解は、

電車のレール。

廃線になったレールを切り取ってもらい、店主のお父さんの代から引き継いでずっと使っているそうです。

物を大事にすること、工夫して仕事する知恵、色々と考えさせられ学ぶ事がたくさんありました。

豆腐屋の仕事に密着!墨田区「手づくり豆腐 豊田屋」

さて、木綿豆腐も完成したので、当分にカットしていきます。

5時から作業を始めて、今7時45分。約3時間で豆腐作りの大半は終了。慣れてしまえば簡単と店主は話していたけど、ここまで出来るようになるにはそれなりの時間が必要。

豆腐屋の仕事に密着!墨田区「手づくり豆腐 豊田屋」

ここからパック詰をするお店もあるのだが、同店は店頭で受け渡しの販売がメイン。後は、近所の居酒屋(場所柄ちゃんこ屋が多い)、幼稚園の給食に使われるので配達している。

両国国技館で巡業がある時は大忙しで、今日やった工程をもう一周するとの事。しかも、1人でやっているから大忙し。

後何年出来るかな〜って笑いながら話していました。

(店主は57歳)

腰や足腰にくるし、体力も年々衰えているから省エネ活動を心がけているそうです。

豆腐屋の仕事に密着!墨田区「手づくり豆腐 豊田屋」

十分に水分が抜けた豆腐をガスバーナーで焼いて、焼き豆腐を作る。

こだわりがある所は焼き台を使って焼いているそうです。豆腐作りの工程も店舗によって様々で、薪で煮詰めているお店もあるらしい。大豆を潰すのも昔は臼で挽いてとても時間がかかって苦労したとか。今は色々と便利になって効率も良くなったから、昔と今の良さを上手に組み合わせて作るのが良いと話していました。

豆腐屋の仕事に密着!墨田区「手づくり豆腐 豊田屋」

ひと段落したのは仕込み開始から4時間たった午前9時過ぎ。

これから店主は朝食を取り、配達を済ませてから厚揚げや湯葉を仕込むそうです。

ひとえに豆腐屋でも、豆腐だけ作れば良いという訳ではないんですね。がんもどきも結構手間がかかるし、湯葉も時間が掛かる。自分がもう1人入れば、4人分の仕事が出来るのにな〜と、店主が苦笑いで話していました。

豆腐屋の仕事に密着!墨田区「手づくり豆腐 豊田屋」

絶滅危惧種にちかい存在になってしまった町の豆腐屋さん。近所にある人はなるべく通って応援していきましょう。スーパーの豆腐も安価でお手軽に買える、日持ちもする。けど、成分表をみると・・・

墨田区両国周辺に住んでいる方々、是非「手づくり豆腐 豊田屋」さんに足を運んで下さい。よろしくお願いします。

仕事を見て感じたこと

豆腐屋の仕事に密着!墨田区「手づくり豆腐 豊田屋」

タイトルに豆腐屋の1日、と付けたのだが、まっ職業体験的な感じでしたね。自分が興味あって、完成までの過程をしれとても満足しました。本を読んだり、インターネット検索で調べれば豆腐作りは簡単に知ることもできるかもしれないが、全身で感じて体験することの重要性を改めて実感。人から聞いた話より、自分で足を運んで見たり聞いたり触れるのが大事です。

そして、今後豆腐屋さんはさらに減っていくのか、新たな働き手が出てきて革命を起こすのか、どうなるかは分からない。立ち食いそば屋もそうだけど、重労働で利益率も悪い。難しいのだが、来世に残したい素晴らしい食文化の一つだと思っています。

大きくなったら自分の息子、娘に豆腐屋の職業体験をさせてあげたいな。それまでに出来ることは沢山食べてたくさん買うこと。皆さんもよろしくお願いします。

第二弾は何を紹介するか決めていませんが、気の向くままにやっていきますので、よろしくお願いします。

未分類カテゴリの最新記事