かれこれ一年ぶりに訪問になってしまった鮨の名店「冨所(とみどころ)」。前回知人にランチ貸切会誘ってもらい、6,000円(税込)のコースを堪能した。当時、オープンして数ヶ月だったので流行りの、最初は安く料金設定しファンが付いたら徐々に値上げするパターンだと勝手に思い込んでいた。
ある時食べ歩き仲間で関西人の友人が、「冨所」行ってみたいんやけど一緒にどうですか?と。久しく行ってないので私もどうなっているか気になり二つ返事でOK。予約の電話は三週間前で普通に取れた。まず驚いたのは、前回同様価格は税込6,000円(キャッシュオンリー)。
内容はさておき価格据え置きについてはこの後述べてみたいと思う。進化を遂げた「冨所」のランチコースを堪能してきたので紹介します。
値上げが当たり前の世の中でこの価格は飲食店殺しでは!?
物価上昇に伴い食材費の高騰も止まらない。数年前に比べて雲丹は二倍近くの値段で取引されるようになり、長年実直に営業し雲丹を扱っていたお店は悲鳴を上げている。
そもそもなぜ鮮魚の値段が上がっているのか?上でも書いた物価上昇もあるし、日本一の卸売市場が築地から豊洲へ移転したことも考えられる。豊洲市場は東京都の管理元で成り立っているが、関係者に聞く話では賃料が相当上がったらしい。さすがに経営が苦しいと嘆いて、移転を機に閉めた仲卸業者も多数ある。
それと、飲食店ブームに乗っかり素人店が高級食材に手を出し始めた要因も強いと私は考える。焼肉屋が雲丹を仕入れて、写真映えを狙う商品やイタリアンでもパスタに雲丹をふんだんに入れたり(元々やっていたお店はあると思うけど)、とにかく今まで高級食材を扱っていなかったお店が増え、価格上昇に繋がっていると思う。
「冨所」さん、ランチ税込6,000円でまだやっているんですか。感謝の気持ち不安な思いの狭間。
11時半お店に到着。コロナ対策か、出入り口の扉を開け換気をしている。
前回は12貫6,000円で数字だけ見ると文句のつけようが無いが、所要時間2時間もかかった。昼間で後に予定があったのでお酒も飲めずお茶だった事も重なり手持ちぶたさで物凄く長く感じた。
お店に入るとお弟子さん二人が加わり、スピーディーな対応で握っている。後に知った事だが、現在昼夜2回転ずつで営業しているそうだ、価格据え置きなのも無理矢理納得出来た(笑)
ランチコース
友人と二人で一本、昼間のビールの罪悪感とは裏腹の旨さに腑に染み渡る。
(この後予定があったので一本で終わりました)
小鰯一尾握り。
小さいのに脂がしっかり乗っている。
綺麗な飾包丁が繊維を感じさせない鯵握り。時期的にも旨味が強く赤酢のシャリと絶妙なハーモニーを生み出している。
逆に夏場の鮪は厳しいですね。。。
漬けにして旨味を少しでも強くするけど香りが無い。
鮪を基準でシャリを作っているお店が多いから、今年は本当大変だったと思う。時化と鮪の味、国産生鮪にこだわるより、冷凍を使い分けた方がいいと思っている私です。(なんども言っているけどね)
脂と酸味、シャリの甘味三位一体の小肌。
烏賊煮。身ではなく耳の部分を使っていて、前回も出てきた大好きな部位。
青柳さんは二枚付けと贅沢感!
握った後、一枚ツルッと滑って落ちてしまったけど(笑)
好きな人は好き、初鰹。最近は年中迷い鰹というのが居て時期関係無く脂が乗っている物が多く流通しているので久しぶりに赤身の旨い鰹を頂いた。
6,000円の中に雲丹も入っています。
しかも茹でたて大振り天然車海老も!紅白のグラデーションが美しいのが天然の証拠。時期によっては養殖の方がいい時もある。
フォワ〜っと、口の中で膨らむように溶ける穴子。お店のよって全然味が違うから面白い。
茗荷とアオサの味噌汁。
食べるのは一瞬、作るのが数時間、単純だけど奥深い玉子焼きは職人の意地そのもの!作った事無いけど、話聞くだけで作りたいと思う人は少ないでしょう(笑)
ここまで所要時間40分!!ご馳走様でした。
食べ終えて
お会計、一人6,250円税込。ビール一本500円税込なのも凄いというか商売っ気が無いというのか、心の中で感謝の意を込めて支払いを済ませ店を後にした。派手さは無く、大将も人見知りで会話は少なくただ鮨に集中して味わえた。(実際、何度か通って大将と仲良くなると物凄くお喋りらしいです)
当日鮨が食べたくなったらふらっと寄れたらいいね。一人だったら意外と空いている日が多いとの事なので気になる方は是非!鮨屋さんデビューしたい人には行きやすいし価格もお手頃なのでオススメかな。
身銭切って食べ飲みし、自分の中で良し悪しを判断するのが間違いない。大前提は身銭ね(笑)
またタイミング合えば食べに来たいと思う。
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