数ヶ月ぶりの訪問になった「鮓職人 秦野よしき」(麻布十番)。
前回訪問しSNSに投稿したら、食べ歩き仲間数人が行きたいと行ったので予定を合わせて貸切会を実施。幹事を滅多にやらない(やりたくない)私だけど、お願いされたら予約するしかないよね。
8人集めれば貸切に出来、特別メニューが出て来る(時もある)らしいのでとても皆楽しみにしていた。しかも、「鮓職人 秦野よしき」は移転が決まっていて、ここで楽しめるのは最後になりそうだからタイミングが良かった!
移転後も同じ麻布十番だけど、内装もさらに凝る分価格もグンっと上がるそうだ(笑)
さて、今宵はどのようなプレゼンテーションで楽しませてくれるのか?
早速紹介しよう。
「鮓職人 秦野よしき」で貸切会を楽しむ
今回のメンバーは、毎度お馴染み「鮨かの(一之江)」夫婦、群馬の天ぷら屋夫婦、私の友人数名と私。
飲食関係者と食事すると、勉強になることが多く楽しい。
予約は必須なお店だけど、決して困難では無い。
貸切会だったので3ヶ月前に予約は取ったけど、2週間前だったら2名とか入れたりするらしい。
恵比寿で1杯(実際は2杯)楽しんでいたのは、準備運動に過ぎない。麻布十番が最寄駅だけど、乗り換えがめんどくさかったから六本木駅から歩いて向かった。
普段、車で通っている道も歩いてみると景色が変わって色々発見がある。「こんなところにお店があったのか!」「うわー、このマンションセレブ感凄いや」などなど。
そんなどうでも良いことを思いながら歩いていたら、18時スタートなのに5分遅刻してしまった(笑)。幹事なのにすみません。
大将に挨拶し、席はこれで決まりで良いですか?と事で貸切会がスタート!口下手でシャイな大将だけど、実際は話すとお茶目で物凄く親しみやすい方なので好きです。
(大学の先輩でもあるので、少し怖いですが(笑))
「鮓職人 秦野よしき」を堪能する
最初から日本酒を頂き、コースがスタート!
前半 一品料理
千葉県産のマコカレイ。
2日前に〆たマコカレイは、ムチっとし淡白。縁側にはしっかり脂が乗り、一切れには肝醤油が巻いてある。
マコカレイに肝って、食べられるのか。むしろ新鮮だったらどんな魚も肝が食べられるのか?スゲー旨い。
こちらも千葉県の黒鮑(クロアワビ)。
水だけで5時間煮ている。味付けは一切していなく、水と黒鮑の旨味だけでここまで味が濃くなるのは凄い。
切り方にもこだわっていて、薄く切る事で香りが引き立つんだとか。
静岡県の鰹(カツオ)。
刺身の状態で提供する前に皮目に火入れするんだけど、火入れの仕方が斬新!熱してある炭にダイレクトに付けて熱を入れるんだって。強火で一気に熱が入るから、旨味が逃げないらしい。確かに、香ばしさは全然違った。
有明海苔の磯ソース的なものも絶妙だな。
牡蠣のバルサミコ酢。簡単に言えば、南蛮漬けだ。
大将は牡蠣が食べられないそうだが、この味付けと調理法だったら食べられるらしい。衣固さや酸味のバランス、前回も食べたけど、改めて美味しさを実感。
シャリと一緒に食べても美味しいような気がするな〜
あん肝。
10分間火入れして4日間漬け込んでいるらしい。
見せてくれた。
焼肉屋のタレみたいなタレにしっかり漬け込み、柑橘も入っているんだって。脂が多いあん肝だと4日くらい漬けるくらいがちょうど良いらしい。
良い意味で鮨屋の常識を覆してくれるから本当に面白い!
後半 握り
ガリ。
どうやらここから握りに入る様子。
綺麗に陳列されたネタの数々。
毎回やるそうだが、大将がシャリの味見をしてから握りがスタートする。前回もやっていたので、ふっと疑問に思って聞いてみた。
「シャリの味が少し違ってたらどうするんですか?」と。
そしたら、「そこはいくらでも調整できます。手酢(握る前に鮨職人が手に水を付けているやつ)の酢を強めにしたり、握りの強弱で出来る」だって。
何度も何度も食べて訓練してないと出来ないことだよね。この言葉を聞いた時点で、定期的に通いたいなと思った。
春子鯛(かすごだい)。
飾包丁が美しい!シャリは、赤酢は一切使ってないのでバランスが良い。
先ほど、平貝を使ってハート型を作っていた大将(笑)
ねっ?お茶目でしょ。
平貝。
中に海苔が挟んであり、磯の風味が鼻を通過して平貝の甘みが引き立つ。平貝は火入れしないと旨味が出ないと思っていたけど、海苔を挟んで握りにしても旨いというのが分かった。
金目鯛。
皮目を炭で焼いてから二日間寝かしているそう。寝かしてから火入れするのではなく、逆の発想なのね。
良い意味で皮目の脂がスッキリしたような印象。食べた時、シャリとの一体が凄く口内で感じる。
2週間熟成の中とろ。
酸味を程よく口内で感じつつ、本鮪の旨味もジワジワ出て来る。さらに食べた時、鼻を抜ける香りも余韻が長くて深い。
大トロ。
あら汁。
大トロ同時に出てきた。大トロを口に入れて、あら汁も一緒に口内に入れて合わせてみて下さい!と。
言葉では表せないマリアージュ。あら汁も濃厚だし大トロの脂も味が濃く、口ん中が幸福感でしかなかった。是非体感してきて欲しい。
中落ち。
シャリに少し変化を付け、大葉やゴマを入れ混ぜたシャリと中落ちをミックス。
口の中でリゾットように混じり合って面白い。
生雲丹。
あえて、生雲丹を冷たくしシャリを温かくしている。噛んだ瞬間、これもリゾットのように口の中で混じりあう。
温度差が大事なんだね。
のど黒丼。
乳化と非乳化、分かるかな?(ラーメン二郎用語でよく聞くよね(笑))
大将が作り出すのど黒丼は、乳化されているんだよね。簡単に言えば、シャリとのど黒を混ぜる用にして食べると、マヨネーズみたいな甘みが出てきて変化する。
マヨネーズ?嘘だろ。と思う方が大半かもしれないけど、食べてみれば分かるよ。
のど黒の脂がシャリに乳化して変化する、化学反応とでも言えば良いのかな?感動の一杯。
鹿児島県の鯵。
ブランドだよね。
鳥貝。
京都の鳥貝は、出す直前に黒い部分を炭に直接当てて火入れをしていたらしい。最初に方に出て来た鰹と同じだ。
仕込みの段階で湯引きを少しするそうだが、肝心なのは最後の火入れ。これによって、鳥貝の旨味がグンっと上がるそうだ。
どこから発想が生まれて来るのか、本当に不思議。
唐津の赤雲丹。
最近、東京でも赤雲丹が食べられるお店が増えてきた。環境もあると思うが、そのうち赤雲丹の養殖とか出来るようになるんじゃないかな?
太刀魚。
大根おろしたっぷりで焼魚を食べている感覚になる。
穴子。
小骨を感じさせない、素晴らしい江戸前の仕事。
山芋が入った玉子焼き。
和風カステラみたいな感じ。フワッフワで滑らかな食感。
ここで一通りコースが終了し、追加注文の有無を聞かれる。個人的には、もう1貫と巻物を注文した。そしたら、皆巻物を便乗し大将が一生懸命巻き始める(笑)
小肌。
酢が浸透してないので、そこまでオススメできないと言われたけど、個人的には酢が尖った感じの小肌も嫌いじゃない。
九州の小肌かな?脂も乗っている。
巻物は、大好きなトロタク巻きと干瓢巻き。
トロはしっかり柵になっている物を使い、使う分を切りつけて巻いてくれる。
中落ち的な部位ではないので、原価は高いだろうな(笑)
干瓢巻きは山葵がしっかり効いて、干瓢の味も濃くて旨い。巻物の数が多かったので、時間がかかり海苔の香りが薄くなってしまったのが少し残念。まー、皆で一気に注文したから仕方無いね(笑)
いやー、今日も大満足。ご馳走様でした〜
食べ終えて
お会計、36,828円。
日本酒から始まり、ハイボールやワイン、焼酎のソーダ割りなど好き勝手注文していたら結構いっちゃったね(笑)
それでも十分満足だし、すごく勉強になった。同じ鮨屋の方は絶対行った方が勉強になると思うよ。逆に素人の方が行っても分かりにくい様な感じかもしれないから、ある程度鮨屋を食べ歩いた人が行くのをオススメする。
次回の予約を取ろうと思ったけど、「移転後は凄い値段上がる!」と言われたので少しビビって様子見(笑)
勉強にためにしっかり通いたいと思う。秦野大将、ありがとうございました!!