しっぽり1人酒がしたい気分の時が多い。嫌なことがあったわけでもなく、むしゃくしゃしている事もない。楽しかったり、高揚感で1人酒を楽しみたい気分になるわけでもない。
家で晩酌程度に済ませればいいものの、やっぱお店に行きたくなってしまう。その場の雰囲気も含めて、丁寧に作ってくれる料理、作っている姿、お店の方との会話、いる客、全てを含めて『美味しい』、『美味しくない』、『楽しい』「また行きたい』『もう行かない』という感情になる。
消費者は勝手なものだ。前回の印象が良かったからと、2回目の訪問時も期待している。あれ、前回の料理はないのか?あの人いないの??中途半端に常連ぶると、嫌われる。
両国駅徒歩数分、年配のご夫婦が切り盛りするやきとん屋「炭火焼 とん公」さん。お店のことを知ったのは、某有名人のTwitter。
昨今の流行り料理とは打って変わり、実直かつシンプルに焼き物が楽しめるとかいてあり気になった。しかし、ネットに記載されている電話番号には繋がらず営業しているかも不明。一度食べたいと思ったら、食べないと気が済まない。
よし、行こう。
両国の古参店「炭火焼 とん公」
2021年1月、ダウンジャケットを羽織って寒空の中徒歩で向かった。緊急事態宣言で営業自粛しているのかな?と、思っていたけど要請通りではあるが時短営業中。
「何度も電話したんですけど、繋がらないから営業していないと思ってました。」
「あー。インターネットに載っている番号は古いやつだよ。今はコレ」
と、女将さんが優しく教えてくれました。
初めていくお店で、第一声がそんな事聞かれるとは(私も聞くとは)思ってもなかった事でしょう。
なんのその、無事に営業していたので一安心。
(禁酒法になった今、営業しているかは分かりません)
カウンターには先客が1人。会話から察するに、頻繁に出張がある人らしい。けれど、コロナ騒ぎで出張がほとんどないから、東京にいても暇だよ!と、豪語。
昔は色々な場所に行きたかったから出張している人が羨ましいと感じていた。旅費は会社で出るし、経費も使えたりするんでしょ?今でも、ちょびっと羨ましいなって感じています。
メニューはシンプルかつ、品数が少ない。間口の狭いお店と品数をギュッと絞ったコンパクトスタイル。一つ事に神経が行き届いているのが伝わってくる。
さて、何を注文しようかな。
「炭火焼 とん公」を堪能
寒空でも関係なく、瓶ビール。しゅわしゅわした刺激と喉越しがやめられない。ただ、最近はクラフトビールにハマっているので、別の機会で紹介します。
ガツ刺し。
おろしニンニク、ごま油、刻みネギ、そしてラー油をちょろっと。モクモク、ムニュムニュ、豚の胃袋は立派なことなんの。
シロとレバー。味付けは、おまかせでお願いしたらタレ。
臭みは全くない。タレの旨みと、部位特有の香が鼻腔をくすぶる。
なんこつとハツ。
辛味噌、辛子でキリッと脳天直撃。なんこつのゴリゴリ食感が本当に好きで、病みつき。
鳥つくねとネギトン。
昔お弁当に入っていた感じの、まん丸つくねが思い出によみがえりました。なんだろう、嫌味が全くない正統派のつくね。柔らかくて、しっとりしているから肉特有の食感はなく、魚のすり身のように滑らか。
ホッピーセットを追加。
中(焼酎)は、3回おかわりしました。
厚揚げお願いします!と、伝える。
すると、大将が冷蔵庫から取り出したのは・・・
よく私がスーパーで買う厚揚げだった。
原価も知っているし、晩酌のお供に最適な事も知っているからモヤモヤ感満載。しかし、炭火で焼いてくれるている普段と違う食べ方、特別感があるのも事実。
ホッピーのお供として、美味しくいただきました。
お新香は、味の素パラパラっと。
最後にウインナーを食べて、ご馳走様。
品数が少ないので、このくらいサクッと気軽に1人で飲めるお店をたくさん知りたいね。ご夫婦の適度な距離感と常連に品の良さ、タバコが吸えるのは嫌だったけど、しっかり思い出に残る空間だった。
食べ終えて
両国駅周辺には、飲食の古参店がたくさんあります。ジビエで有名なあそこだったり、鍋のお店、鰻屋など、地元に根付いてやり続けています。最近の流行りに惑わされず、実直にやり続ける姿を見ると、自然と元気をもらう。
都心のど真ん中で挑戦して、流行らせるお店も素晴らしいとは思う。挑戦して、新しいことをこなしているのだから、もちろん評価されて当然。ただ、高級食材のオンパレードだったり、映え系を狙っているとか、、、そして、それをスタンプラリーの如く食べ歩いている人たちを、『グルメ』『食通』『美食家』と、呼ばれるようになった空気(?)。
もちろん、私もスタンプラリーの如く食べ歩いていた時期もあるし、今でもたまに新規開拓しています。思考が変わってきまして、食べる前のプロセスを知りたくなってきた。生産者はもちろん、好きなお店のシェフの1日の流れや仕込み風景も書いてみたいと思います。
少しずつではありますが、食に対しても着眼点をずらして紹介していきます。今後とも、よろしくお願いします。