新富町にある天ぷら屋「旬恵庵 あら垣」(以下、あら垣)へ行ってきた日の事。
栃木県の食べ歩き仲間から誘って頂き、「あら垣」へ行く事になったのは良いが人が集まらず2人で貸切会と言われたので大丈夫なのか?と不安になった。貸切にして人と集められなかったのかと不安になり聞いてみると、「元々2人で予約していたので大丈夫です」と。
お店側には迷惑掛かっていないので良かった。が、しかし席が空いているのなら他の人も誘っても良いか聞いてもらうと、前日なので後2名程だったら大丈夫です。
お店の為にも席を埋めたかったので、前日に深夜に30人程メッセージし2人行けるとの返事を頂いた。
そのような経緯があり「あら垣」で食事を楽しんできたので紹介しよう。
行けば行く程に魅了される「あら垣」は凄かった
栃木県の鮨屋は本当に勉強熱心なのだ。SNSの投稿で変態なのは一目瞭然だが、50歳(歳は関係ないかもしれない)にして、休みに日は空いていれば「初音鮨(蒲田)」まで脚を運び、仕込みを手伝いながら勉強している。50歳の私はどのようになっているか分からないが、常に向上心持って行動している姿は意志堅固。
(変態店主(いい意味で)は「柏寿司(太平)」)
「あら垣」と言えば、前回貸切会に呼んで頂いたのだが私は飲み過ぎて後半記憶無くベロベロになってしまった苦い思い出がある。店主は怒っていないだろうか?女将さんに邪険にされないかな?多少不安な気持ちを抱えながら行く事にした。
(過去の記事は「こちら」)
新富町駅から歩いて5分強。
それではお邪魔します。
皆私は顔見知りなので気軽に楽しめる。気を張らずに食べ飲みするのが1番良い!
最近は知らない人の会には行く回数を減らしている。人見知りなのもあるが、メインは食事なので1人の方が気軽で良い。
先付けは焼き茄子と雲丹の辛子餡かけ。
マスタード、土佐醤油、生クリームを合わせたソースがとにかく絶品!素材を最大限に引き出している計算が素晴らしい。
お造り。
内湾の平目。
あら垣さん特製の煎り酒がとにかく旨い!前回も感動したが、上回る美味しさだ。
焼き物。
内湾の鱸のもろみ焼。ハス芋、ミョウガ、湯葉豆腐、魚がメインなのも分かるが、副菜があっての完成度。さらに付け合わせの塩梅のバランスが最高に美味しい!
皆で泡盛ソーダを注文。店主は沖縄県出身で超大酒呑み(らしい)。私も散々飲み過ぎて電車で寝てしまい乗り過ごした事あるが、店主はそれ以上に遠くまで行っていた(笑)
私も気を付けないとダメだな。
今日の天ネタを見せてくれた。車海老に鮑、穴子に鱚、そして野菜の数々がとても美しく目で楽しませてくれる。
山形県のアスパラガスの穂先は塩で頂く。サクッとした歯ごたえがいい意味で水分が抜けていて塩で食べる事により甘みが引き立つ。
同じアスパラガスの根元を天汁で頂く。
一本のアスパラガスでも先と根では異なる食感と甘みが楽しめるが、個人的には根元の方がジューシーで水々しくて好み!何より天汁が旨い!!
愛知県産の新銀杏は塩。
新銀杏、最近鮨屋でも食べる機会が増えているが産地によって味の違いがあるのだろうか?聞いてみると、取れる産地のよって大きさが違うらしい。
なるほど。
日本酒をおまかせで頂く事にするが、飲み過ぎないように注意する。
ジーマーミ豆腐の天ぷら。
沖縄出身の店主ならではの一品に感銘を受ける。落花生唐芋で作られた上品な甘さとナッツの香ばしさが良い。
車海老。
塩で頂き、車海老が持つ甘みを楽しむ。
2本目は天汁で。
素材自体を楽しむのは塩かもしれないが、天汁で食べる方が美味しいと思う。
車海老の鬼殻焼き。
味噌が付いているので天ぷらにすると油が悪くなってしまうので焼きにしたのかな。味噌の香ばしい旨味が楽しめる。
新烏賊。
とにかく甘くレアに揚げているので柔らかい。新烏賊を鮨屋で握りとして食べるのも好きだが、天ぷらの方が素材を活かすには最適なように思える。
少しずつ飲んでいるのでスローペース。
天ぷらと日本酒も良く合うな。
鱚。
フワッフワの身がとにかく美味しく衣も香ばしい。油を使って脱水しているイメージかな。
地鶏とササミの魚醤和え。
塩魚汁とナンプラーのドレッシングで頂く。天ぷら屋にしてはお洒落な一品だが、これが店主の得意なレシピなのだ!自家製ドレッシングだけでも20種類のレパートリーを持っているそうで、何を使っている教えてくれるが単純では無い。知れば知るほどに興奮してくる!
冷やし椀。
茶豆やマイクロトマトの甘みが楽しめ、海蘊の食感もジャキジャキ。変わった冷やし椀だな。
鳥長唐辛子。
新蓮根。
サクッ、ねっとりとした食感と噛めば噛むほどに感じる甘さが楽しめる。
ドランゴンフルーツの天ぷら!
生でフルーツとして食べるのは好きでは無いが、天ぷらにして塩とレモンで味付けすると全く違った顔に変身する。生まれ変わったかのような味わいが楽しめる。
甘鯛の昆布〆。
敢えて衣を残したまま揚げ昆布の旨みと甘鯛の甘み、食感のコントラストも口内で楽しめる。
鮑の天ぷらは蒸したような食感だが生から揚げているので旨味が逃げていない。この香りを保ち鮑の旨味を楽しめるお店は本当に少ないと思う。
鮨屋でも鮑を蒸しているお店があるが、美味しいには美味しいのだが旨味をしっかり残しているお店はあっこしか無いな。
合わせるのは鮑の肝と昆布塩。言葉が要らない美味しさ。
黙って食べるべし。
穴子。
穴子も鮨屋で食べるより天ぷらの方が良いな。身がフワッフワで柔らかい。捌いて残った骨も食べられるのは嬉しい。
杏子のシャーベットで口直し。
甘さより酸味が強いのがまた好き!
〆のご飯は天茶か天丼。迷わず後者を選択する。
4人で半々に分かれた〆の丼。
こってり〆たい人は天丼が良いと思う。タレの味もまた甘くてご飯が進む。
さっぱり〆たい人は天茶が良いね。
出汁があっさりしていて汁感覚で楽しめる。(友人に残りもらいました)
お椀。
黒糖プリンとお茶でご馳走様でした。
今宵も抜かりなく、最高の料理でおもてなしされた。定期的に通いたいお店の一つに決まった瞬間だった。
食べ終えて
美味しく楽しかった。
足し算や引き算を上手に使い調理を施している。足し算とは、食材を組み合わせて相乗効果を狙って旨みの強弱を付けてメリハリを楽しむ。引き算は食材を脱水や加熱し最小限の調理法で素材の旨味が最大限に活かす。
「あら垣」では一品料理の奥深さがとことん楽しめ、どこまでも正解が出てこないから面白い。私は素人ながら必死にインプットし五感で楽しみ、他と比べようと思っている。飲食関係者は絶対通った方が勉強になるので是非行って欲しい!
春夏秋冬で行きたいと思っている。
ふぅ〜、今日はベロベロにならずに帰る事が出来ました(笑)